借地権の買取交渉

土地所有者の方が土地を借主に貸した後、何年か経って、様々な事情によって貸した土地を取り戻したいケースがあります。
しかし、借地権を取り戻すためには、借地人と円滑に交渉を進める必要があります。
そこで、今回は借地権の買取や価格相場、買取交渉の際のポイントや流れもご紹介します。

地主が借地権を買い取ることは可能か？

土地所有者から一方的に契約を解除することはできません。
一方的な契約の解除が認められると、借地人が住んでいる家を失う可能性がありますので、借地借家法によって保護されているのです。

しかし、地主側にも貸地を現金化したい、自ら使いたいなど様々な事情が発生します。
そんな時は、地主自らが借地権を買い取ることもできます。
ただし、上手く交渉しないと借地人とトラブルになりますので、借地権の買取交渉時にはポイントを押さえて話し合う点が重要です。

借地権の買取価格の相場について

借地権の買取交渉において重要なポイントの一つが、買取価格の相場について知ることです。
価格相場は地主からの提案、そして借地人からの提案の２つのパターンに分かれます。

① 地主からの提案では60～70％が相場

一般的に地主から借地権の買取を提案するとなると、更地価格の60%～70％が相場となります。
借地権の買取価格を算定するためには、その前提として、更地の時価や借地権割合をどうするかが問題になります。
不動産鑑定士や不動産業者に依頼して算定します。

なお、譲渡承諾料や建物価格も計算する必要がありますので、不動産価格の査定に詳しい業者に算定を依頼すると良いでしょう。
ちなみに、地主から提案する場合には、借地人の引越し費用や新居の準備に必要な費用補償なども、買取価格に上乗せする傾向が多くなっています。

② 借地人からの提案では約50％が相場

借地人からの提案で借地権の買い取りを行った場合、相場は更地価格の50%ほどになるケースが大半です。
これは、借地人側のなるべく早く現金化したいなどの事情があるため、多少価格が安くても買い取って欲しいという理由から地主提案の相場より低くなっています。

また、更地価格の60%～70%で第三者に対する借地権売却を検討しても、買主が見つかりにくいことが多くあります。
したがって、50%程度でも地主に買い取りしてもらった方が、手間もかからず現金化しやすいというメリットがあるのです。

借地人との買取交渉時における３つのポイント

借地人との買取交渉を進める際には、以下の３つのポイントに注意しておくと良いでしょう。

① なるべく相場に近い金額で交渉

地主が借地権の買取を提案する場合、なるべく安い価格で買い取りをしたいでしょう。
しかし、売却する借地人側は、できるだけ高い価格で借地権を売りたいと思っています。

互いに利益が相反しますので、話し合いもまとまりにくくなるのは当然です。
トラブルになると買い取りの話自体がなくなるというリスクもあるため、強引な価格交渉はせず、なるべく相場に近い金額で話し合いましょう。

② 不動産に詳しい専門家にサポートを頼む

借地権の買取価格の算定は、不動産や借地権に関する専門的な知識が不可欠となります。
また、複雑な手続きをスムーズに行う、借地人との交渉を円滑に行う意味でも、経験と実績のある不動産業者などにサポートを頼んだ方が良いでしょう。

③ 売却目的であれば同時売却を提案

土地売却目的であれば、同時売却を借地人に提案するのもポイントです。
通常は地主が保有する「底地権」、借地人が保有する「借地権」をそれぞれ個別に売却しようとすると、買い手も付きにくく価値も下がります。

しかし、借地人にも借地権の売却を提案し、「底地権＋借地権」で所有権にすれば、高値で売れやすくなるため両者にメリットがあります。

借地権買い取りのためのステップ

最後に借地権買い取りのためのステップも確認しておきましょう。
主な流れは以下のとおりです。

① 信頼できる不動産会社に相談

トラブルを避けるためにも、経験と実績のある不動産会社などに仲介を頼む方が賢明です。

② 借地権の価格算出のために不動産を調査

価格の根拠を示すため、借地の面積や形状、周辺環境の調査などを行います。

③ 借地人と買取価格や条件等について交渉

引き渡しの時期や条件、費用負担について調整を行います。

④ 売買契約を締結し手付金を支払う

借地人からの同意を得られれば、売買契約を締結し、締結の際に10%前後の手付金を支払います。

⑤ 残金の支払い及び借地権の引き渡し

必要であれば融資も受けて、決済時に、残金の支払いを行って借地権の引き渡しを受けます。

借地権の買取交渉は、交渉実績のある業者へ依頼しましょう！

借地権の買取交渉は、地主・借地人ともに利害の反する相手と話をまとめる必要があります。
したがって、できれば交渉実績のある不動産業者などに仲介してもらい、スムーズに買取交渉を行ってもらった方が負担や手間を減らせるでしょう。

ぜひ、本記事を参考にしながら借地権の買取交渉を進めてみて下さい。