立退きを求められた
賃借人が建物を借りている場合、大家から急な立退き要求を求められるケースがあります。
しかし、正当な理由がない一方的な立退きは認められないため、安易に応じるべきではありません。
そこで本記事では賃貸人からの立退き要求の事例や対応方法、立ち退かなければいけない正当な理由、弁護士相談のメリット等について解説します。
違反や滞納をしていないのに立退きを求められるケースとは?
賃借人は重大な契約違反や滞納がなくても、時に大家側からの都合で立退きを求められるケースがあります。
具体的には以下のような場合です。
① 建物の老朽化を原因とする建て替え工事の場合
建物は築年数が20年、30年と経過するにつれて耐久性や耐震性が低下し、住民に危険が及ぶ可能性が高くなります。
そこで、建て替えや補強工事を行うため、貸主が借主に対して立ち退きを要求するケースが出てきます。
② 賃貸人に建物を必要とする事情が発生した場合
賃貸人にも経済的な事情やトラブルが発生します。
生活のために居住する必要が出てきた、売却の必要があるなどの理由で立退きを求めてくる場合があります。
立退き要求された際の対応
上記の様な理由で賃貸人から立退きを要求された場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。
主な行動としては以下のような対応があります。
① 立退きに応じるとともに立退料を請求する
賃貸人の求めに応じて立ち退く場合には、必要な立ち退き料を受け取ります。
立ち退き料は、引越し代金や店舗の営業補償なども考慮して算定し請求しましょう。
② 立退きを拒否する
建物で店舗経営をしていた際には、顧客を失うリスクもあるため立ち退きたくない場合があります。
こうしたケースでは、賃貸人に対して立ち退き拒否の主張をしていきます。
いずれの対応も、賃借人本人と賃貸人の直接交渉ではトラブルになる可能性が高いため、必要であれば弁護士への依頼も検討しましょう。
立退き要求できる正当な理由とは?
賃貸人が立ち退きを請求できる正当な理由についても確認しておきましょう。
正当な理由の有無は、以下の要素が総合的に考慮されて判断されます。
- ① 建物の賃貸人及び賃借人の当該建物を必要とする事情
- ② 建物の賃貸借に関してのこれまでの経過
- ③ 建物の利用状況や現況
- ④ 賃貸人が明渡し条件として立ち退き料の支払いを申し出た場合はその申出
特に①の建物を必要とする理由は、重要な判断要素とされやすいため覚えておきましょう。
なお、賃借人の建物の必要性が賃貸人の建物の必要性よりも大きい場合、正当事由は認められにくくなります。
したがって、賃借人が立ち退きを拒否していく場合、建物の必要性を競って賃貸人と交渉を行っていくことになります。
立退き料を請求できない場合について
立ち退き料は請求できない場合もあるため注意が必要です。
主なケースとしては以下のような状況があります。
① 家賃滞納や無断転貸をしていた場合
賃借人が継続的に家賃滞納していた場合や無断転貸を行っていた場合、債務不履行により賃貸借契約が解除されてしまいます。
そうなった場合、賃借人は立ち退き料を受け取れないため注意しましょう。
② 立ち退き料を受け取らない合意をしていた場合
建物賃貸借契約の解約において、立ち退き料を受け取らない旨の合意をしていた場合には請求ができなくなってしまいます。
ただし、賃貸人に脅される・騙されるなどの被害にあって、不本意ながら同意した場合には取り消しが可能です。
③ 定期借地契約や定期建物賃貸借契約の期間満了の場合
定期借地契約・定期建物賃貸借契約には更新が存在せず、借地借家法上の正当事由もありません。
さらに、賃貸人の立ち退き料支払いの義務はないため、賃借人の請求もできない点は覚えておきましょう。
弁護士に相談するメリット
賃貸人から立退きを求められた場合、弁護士に相談すると以下のようなメリットがあります。
① 賃貸人とのトラブルを避けやすくなる
賃貸人と賃借人が立ち退き交渉で直接やり取りすると、金額や条件について話がまとまらずトラブルになる可能性が高くなります。
交渉に慣れている弁護士に相談すれば、こうした事態を避けやすいでしょう。
② 立ち退き料の相場が分かる
不動産に詳しい弁護士に相談すれば立ち退き料の相場が分かります。
相場が分かれば、賃貸人が低額な立ち退き料を提示してきても不相当であると主張できます。
③ 立ち退き料増額の可能性が高まる
交渉のプロである弁護士に依頼すれば、賃借人の事情を詳しく把握して説得力のある対話を行ってくれる可能性が高いでしょう。
そうなれば、立ち退き料の増額を実現しやすくなります。
立退き要求をされたら早めに弁護士に相談するのがベスト
賃借人が立ち退きを求められるケースや対応方法、正当事由や弁護士に相談するメリット等も解説しました。
立ち退きに関して、賃借人が賃貸人と直接交渉を行うためには、不動産に関する専門的な知識が必要です。
さらに、トラブルになると裁判の可能性もあるため、法律に詳しい弁護士に早めに相談した方が良いでしょう。
ぜひ、本記事を参考にして立退き要求された場合の事態に備えてみて下さい。
