賃料の増額を請求された
あらゆる物価が高騰している中、今住んでいる賃貸物件でも突然家賃の増額を宣告されることがあるかもしれません。
現在居住している入居者にとっては、家賃が増額されるのは負担になるため、できれば現状の家賃で済み続けたいのが本音ではないでしょうか。
そこで今回は、賃料の値上げを請求されたとき、入居者はどのような対応をとるべきか、詳しく解説します。
目次
なぜ家賃を値上げするのか
大家が賃料を増額する背景として次の理由が考えられます。
固定資産税が上がった
土地や建物などの不動産を保有している人は、「固定資産税」を毎年納めています。
固定資産税の税額は3年に一度のペースで評価額の見直しが行われるため、税額が上がれば大家の負担も増えます。
特に都市部や再開発が進む地域では、評価額が上昇する傾向があります。
そのため、大家が固定資産税を納付するために、家賃を値上げせざるを得ないのです。
経済状況の変化
冒頭でも述べた通り、物価の高騰により家賃相場にも変化があった場合、相場に合わせて家賃を増額する可能性があります。
ただ、新築物件の家賃が高いように、築年数が経過すれば物件の価値も下がるのが通常です。
ある程度の賃料増額ならやむをえませんが、経済状況の変化に便乗して、多額の賃料増額を求められた場合は、値下げ交渉できる余地があると言えるでしょう。
周辺物件の相場と比較して家賃が安い
築年数や広さ、駅からの距離など、現在住んでいる物件と同等レベルの物件を比較して相場よりも家賃が低いと判断された場合に賃料を増額される可能性があります。
この場合、本当に周辺の相場よりも家賃が低いのかどうか、自分でも調べてみることをおすすめします。
家賃の値上げを求められるタイミング
家賃が値上げするタイミングとして最も多いのが、契約更新の時でしょう。
現在の賃料で契約している以上、途中から「家賃を値上げしたい」とは大家から言いづらいものです。
とはいえ、家賃の値上げするタイミングは決まっておらず、たとえ契約中でもある日突然賃料の増額を請求される可能性があります。
賃料増額は拒否できる
賃料を増額するのには理由があっても、さまざまな事情があってこれ以上は家賃を払えない方もいらっしゃるかもしれません。
法律上、大家は賃料を増額できますが、一方的に増額を決めることはできず、入居者の同意が必要です。
つまり、入居者が増額を拒否すれば現在の家賃のままで居住できるのです。
賃料増額の請求をされたとき、入居者は具体的にどのように対応するべきでしょうか。
大家と交渉すること
大家側も、入居者の同意がなければ家賃の増額ができないことは理解しています。
入居者側の同意を得るために直接訪問したり電話したりとコンタクトを取ってきますが、その際に頑なに交渉を拒否しつづけるのは得策ではありません。
入居者側も賃料増額を拒否できますが、きちんと話し合いに応じることが大切です。
居留守を使ったり音信不通になったりしないよう、誠実な対応を心がけるべきでしょう。
大家と交渉する際のポイントをご紹介します。
感情的にならず、冷静に話し合うこと
賃料の増額は、入居者にとってはつらいことです。
しかし、はじめから感情的に責め立てたり、怒ったりするのはNGです。
冷静になって、話し合いたいという姿勢を見せるようにしましょう。
こちら側の話を聞いてもらうので、大家側の話に耳を傾けることも大切です。
なぜ賃料を値上げするのか、大家側の言い分を聞いたうえで、交渉することをおすすめします。
家賃値上げの根拠となる資料を見せてもらうこと
家賃の増額を決めた理由と、その根拠を提示してもらいます。
例えば固定資産税が上がった場合は、不動産の評価額や払込票、周辺の地価がわかる資料などを見せてもらうことです。
周辺物件の相場を調べておくこと
賃料を増額する理由が「周辺物件と比較して相場より低い」だった場合は、周辺物件の家賃相場を調べておきましょう。
築年数、面積、設備など居住中の物件とできるだけ条件の近いところの家賃を調べておきます。
値上げ幅を抑えてもらう
大家に提示された賃料にすぐに同意せず、交渉して値上げ幅を抑えてもらうこともできます。
例えば、現在の賃料より5,000円高い賃料を提示された場合、「半額の2,500円にしてもらえないか」と交渉してみるのです。
双方ともに妥協することになるので、同意しやすくなるかもしれません。
交渉がうまくいかなかったときは弁護士にご相談ください
大家から賃料の増額を請求されたときの対処法についてご紹介しました。
万が一、交渉が決裂した場合、大家から立ち退きを求められる可能性があります。
しかし、値上がり前の家賃を払い続けている限りは、立ち退きを命じられても居住しつづけることができます。
万が一、大家との交渉が決裂したまま解決できなかったり、値上げに合意できなかったことを理由に大家が家賃の受け取りを拒否されたりしたときは、弁護士にご相談ください。
