多額の原状回復を要求された |大阪で不動産トラブルを弁護士に相談【田阪法律事務所】

050-3628-2026

受付時間 : 平日 9:00~20:00

お問い合わせ

多額の原状回復を要求された

賃貸物件から入居者が退去するとき、管理会社や大家から「原状回復費用」を請求されることがあります。
原状回復費用は入居時に払った敷金を原状回復に充てることがほとんどで、余った敷金は退去時に返還されます。
しかし、原状回復費用が敷金を超えたとき、大家は入居者に対し、超えた分の原状回復費用を請求します。
それが妥当な金額かどうか、判断が難しいかもしれません。
そこで今回は、大家から多額の原状回復費用を請求されたときに入居者がどう対応すればいいか、詳しくご紹介します。
 

原状回復義務とは

民法では、原状回復義務について次のように定められています。
 

民法第621条(賃借人の原状回復義務)
賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化を除く。
以下この条において同じ。)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。
ただし、その損傷が賃借人の責めに帰すことができない事由によるものであるときは、この限りではない。

 
この条文の通り、賃貸物件の入居者は退去する前に「原状回復」する義務があります。
「原状回復」と聞くと、入居して間もないころのようなきれいな状態をイメージするかもしれません。
しかし、条文にもあるように、
 

  • ・通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗(通常損耗)
  • ・経年劣化

 
であれば、原状回復する必要はないのです。
 

通常損耗と経年劣化

ここでいう「通常損耗」と「経年劣化」は、具体的に次のようなケースが該当します。
 

通常損耗の例

  • ・テレビや冷蔵庫の後部壁面にできた黒ずみ
  • ・重たい家具を長期間設置したことによりへこんだ床
  • ・壁に刺した画びょうの穴、釘穴

 

経年劣化の例

  • ・クロスの日焼け
  • ・フローリングの劣化

 
通常損耗や経験劣化によるものは、入居者が故意・過失によるものではないので、クリーニング代は大家ないし管理会社が負担します。
 

善管注意義務違反なら原状回復する必要がある

一方、入居者が故意または過失によって発生した損耗の場合、善管注意義務違反にあたるため、入居者が原状回復費用を負担しなければなりません。
善管注意義務違反の例として次のようなケースがあります。
 

  • ・クロスやフローリングへの落書き
  • ・飼育していたペットによるクロスの損傷・剥がれ
  • ・飲み物を落としたときにできたシミ
  • ・結露を放置したことで発生したカビ
  • ・キッチンの油汚れ
  • ・家具などのひっかき傷

 
これらのクリーニング代や修繕費用は、毎月支払われている家賃からまかなわれるものですが、これを超えて修繕費用が発生した場合は、入居時に支払った敷金から支払われます。
敷金はハウスクリーニングなどの費用を差し引いた金額が入居者に返還されます。
ただし、あまりに多額の原状回復費用を請求された場合、返還される敷金の費用が少なくなったり、敷金で足りない分をさらに請求されたりすることがあります。
 

多額の原状回復費用を請求された場合の対処法

以上を踏まえ、多額の原状回復費用を請求された場合に入居者が取るべき対応についてご紹介します。
 

原状回復費用がわかる資料を見せてもらう

原状回復する際、どの補修作業にどれくらいの費用がかかったのかわかる明細書などを見せてもらうことです。
本来なら支払う必要のない費用も請求されていないか、または明らかに費用が高額な項目がないか確認してみます。
先述した「通常損耗」に該当する分まで請求されていないかもチェックしましょう。
 

大家や管理会社と交渉する

明らかに通常損耗や経年劣化によるものの原状回復費用を要求された場合は、大家や管理会社である賃貸人に交渉します。
反対に、通常損耗を超えて善管注意義務違反による損耗がある場合は、入居者側が支払う義務がありますが、その費用についても妥当な金額かどうか確認することをおすすめします。
 

話し合いによる解決ができなかった場合に相談先

大家や管理会社との話し合いがうまくいかない場合、次のような相談先を利用すると良いでしょう。
 

消費生活センター

消費生活センターでは日常の買い物に関する相談だけでなく、高額な原状回復費用を含めた消費生活全般に関する相談ができます。
解決に向けたアドバイスを無料で受けることができるので、市区町村が解説している最寄りの消費生活センターに問い合わせてみましょう。
 

日本消費者協会

消費生活センターと同様に、消費生活全般にかかわる相談窓口で、基本的に電話による相談を受け付けています。
トラブル解決に向けたアドバイスと情報提供などを無償で受けられます。
 

原状回復をめぐるトラブルは弁護士に相談

話し合いによる解決が難しい場合は、弁護士に相談しましょう。
民事トラブルに詳しい弁護士が詳しくお話を伺ったうえで、法的な観点から解決策をご提案できます。
少額訴訟や調停をお考えの方も、解決までサポートできますので、お気軽にご相談ください。

大阪・淀屋橋で15年!実績豊富弁護士が在籍!

不動産トラブルでお悩みの方は、当事務所にお任せください。