漏水被害に遭った場合
賃貸物件に住んでいて、ごくまれに漏水の被害に遭うことがあります。
自然災害や経年劣化など、原因はさまざまですが、万が一漏水で損害が出た場合、修理費用や家財道具の補償費用を負担してもらうことができます。
ここでは、漏水被害に遭った時に取るべき対応をケースごとにご紹介します。
目次
賃貸物の修繕を負担するのは誰か
民法第606条では「賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要になったときは、この限りではない」と定められています。
つまり、賃貸物件の修繕費用は原則として管理会社や大家が負担、例外的に入居者の過失で修繕が必要になったときは入居者が負担するということです。
漏水被害が起こる原因
賃貸物件で漏水被害が起こる原因として、次の3つが考えられます。
- ①建物の経年劣化
- ②入居者の過失
- ③自然災害
それぞれについて詳しく説明します。
建物の経年劣化
建物の中でも、排水管や給水管が経年劣化によって破損し、水漏れが発生することがあります。
最近では、給水管や給湯管には劣化しにくい塩化ビニル製が使われるようになりましたが、一昔前まではさびやすくて劣化の早い鉄管や銅管が主流でした。
そのため、築20年以上経過している物件は特に注意が必要でしょう。
また、水漏れしやすい場所の一つにエアコンのドレンホースがあります。
ドレンホースとは、エアコンをつけたとき出てくる水を外に排出するホースのことです。
ここにゴミが詰まると漏水が起こることがあります。
入居者の過失
経年劣化ではなく、入居者のうっかりミスが原因で漏水が起きることがあります。
具体例として、
- 1.洗濯機のホースが外れたまま洗濯してしまった
- 2.お風呂の水を出しっぱなしにして外出または寝てしまった
- 3.トイレが詰まった
等のケースが考えられます。
先述したように、このような入居者が原因とする漏水被害を受けたときは、管理会社や大家ではなく、入居者本人が修繕費用を負担します。
自然災害
台風やゲリラ豪雨といった大雨によって天井から雨漏りがしたりするケースが考えられます。
漏水の被害に遭ったときはどうすればいい?
漏水に気づいたとき、入居者は次のような対応をしましょう。
被害の拡大を防ぎ、状況を把握する
漏水が起きている場所を確認してこれ以上被害が大きくならないように対策を取りましょう。
天井から水漏れしている場合は、水滴が落ちてくる場所にバケツやボウルを置いたり、広範囲で水浸しになっている場合は、タオルやレジャーシートを敷いたりします。
また、漏水が起きている箇所と、濡れた床や家財道具の写真ないし動画を撮影しておくことをおすすめします。
被害の状況を確認し、修繕や家財道具の補償について管理会社や大家と協議する際に役に立ちます。
管理会社または大家に連絡する
まずは管理会社か大家に連絡しましょう。
都市部の住宅では水道関係のトラブルに対応できる業者のチラシがポストに入っていることがありますが、自分から連絡するのはおすすめしません。
管理会社や大家と連絡がつかず、すぐにでも修理をお願いしたい場合は、信頼できる水道修理できる業者を選びましょう。
なお、漏水の原因によっては修理にかかった費用を管理会社または大家が負担してくれる可能性もあるため、領収書を発行してもらうと良いでしょう。
他の住人を直接訪問するのはNG
上階から自分の部屋に漏水していて明らかに上階の住人が漏水を起こしているとわかる状況でも、直接その住民宅に行って注意するのは避けるべきです。
住民同士のトラブルに発展するおそれがあるため、管理会社や大家を通じて注意してもらうようにしましょう。
漏水被害の補償について
給水管や給湯管といった水回りの部品の修理・交換だけなら数千円か数万円程度で済みます。
しかし、漏水によって下の階の住民の家財道具に被害が及んでいる場合は、数百万円程度の損害賠償請求される可能性があります。
また、床が水浸しになり、とても居住できる状態ではなくなった場合には、住民がホテル暮らしを余儀なくされることがあり、その宿泊費用支払いなどの費用がかかるかもしれません。
このような漏水によって発生した損害は、火災保険の「水漏れ補償」で補償を受けられます。
管理会社か入居者どちらの火災保険が使えるか、詳しくは管理会社に確認しましょう。
大家との話し合いがまとまらないときは弁護士にご相談ください
漏水被害の原因を特定するにあたり、経年劣化か入居者の過失が原因なのかわからず、管理会社と入居者でトラブルになることがあります。
どちらの理由にしても漏水により損害を受けているなら、補償を求めるべきです。
漏水により管理会社や大家との話し合いがつかないときは、弁護士にご相談ください。
損害を補償してもらうよう、尽力させていただきます。
