共同の利益に反する行為をする区分所有者への対応 |大阪で不動産トラブルを弁護士に相談【田阪法律事務所】

050-3628-2026

受付時間 : 平日 9:00~20:00

お問い合わせ

共同の利益に反する行為をする区分所有者への対応

迷惑行為をする区分所有者がいる場合

マンションには様々な住民が住んでいます。
それだけに住民同士のトラブルも起きやすいものです。
国土交通省が発表した平成30年度マンション総合調査によるとマンショントラブルの第1位は、居住者間のマナーをめぐるトラブルとなっています。
迷惑な住民がいると住環境や治安の悪化など様々な悪影響がありますから、早い段階で管理組合による対応が必要になります。
一般的なマナー違反であれば、法的な手段等を講じるよりも管理会社を通して、マナーを守るように呼びかけてもらうべきでしょう。
管理会社では手に負えないような迷惑行為の場合は、弁護士に依頼し、管理規約の規定を根拠として、勧告や警告を発してもらうことも考えられます。
 

弁護士に相談する必要のある迷惑行為・トラブル案件とは?

区分所有法6条が禁止している共同利益背反行為に該当するような迷惑行為・トラブル案件は弁護士への相談や依頼を検討することになります。
 
共同利益背反行為とは、
 

  • 1、建物の保存に有害な行為
  • 2、建物の管理または使用に関し有害な行為

 
の2種類のことです。
 
建物の保存に有害な行為とは、建物の構造を破壊するような行為のこと。
建物の管理または使用に関し有害な行為とは共用部分を違法に占拠したり、騒音、悪臭等と言ったニューサンス行為等のこと。とされています。
 
共同利益背反行為に該当するかどうかについては、いくつもの判例が出されています。
例えば、次のような行為が共同利益背反行為に当たると解されています。
 

  • ・マンションの防音工事等を受注した業者の業務を妨害するなどの場合
  • ・共用部分の専用使用部分たるバルコニーにサンルームを設置した場合
  • ・管理費等の著しい滞納がある場合
  • ・専有部分を暴力団事務所として使用している場合
  • ・専有部分を危険な教義を信奉し組織を維持している宗教団体施設として使用している場合

 

共同利益背反行為への区分所有法に基づく対処法

管理組合の役員等が背反行為者と直接話し合うことで解決できることもありますが、役員もマンションの住民の一人ですから、住民同士の話し合いだけでは、解決が難しいことも多いと思います。
このような場合は、やはり弁護士から文書等を発する形で勧告や警告を行い是正を求めるべきでしょう。
 
弁護士からの文書に対しても、背反行為者に改善が見られない場合は、区分所有法に基づく法的手段を検討することになります。
具体的には下記のような手段があります。
 
なお、マンションの住民は、区分所有者である場合と、占有者に過ぎない場合(区分所有者から借りている場合)がありますが、背反行為者が、どちらであるかにより、下記の請求の利用可否が異なります。
 

1、区分所有法57条に基づく共同利益背反行為の停止等の請求(区分所有者・占有者のどちらでも可)

管理者等が原告として裁判を提起し、共同利益背反行為の停止、結果の除去、予防措置を講じるように求めるものです。
既に共同利益背反行為がなされている場合はもちろん、なされるおそれがある段階での提起も可能です。
訴訟を提起するには、集会の普通決議を経る必要があります。
 

2、区分所有法58条に基づく専有部分の使用禁止の請求(区分所有者のみ)

既に共同利益背反行為がなされており、区分所有者の共同生活上の障害が著しい場合に提起できる訴えです。
区分所有法57条に基づく停止等の請求だけでは対処できないような場合に、相当の期間、背反行為者が専有部分を使用することを禁止する措置を講じるものです。
この訴えを提起するには、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による特別決議が必要です。
また、決議に先立って、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければなりません。
 

3、区分所有法59条に基づく区分所有権競売の請求(区分所有者のみ)

同じく既に共同利益背反行為がなされており、区分所有者の共同生活上の障害が著しい場合に提起できる訴えです。
背反行為者の区分所有権及び敷地利用権の競売を請求するもので、簡潔に言えば、背反行為者の区分所有権を強制的に取り上げて、マンションから追放することになります。
大変強力な手段のため、「他に手段がない場合」の最終手段と位置付けられています。
この訴えを提起するには、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による特別決議が必要です。
また、決議に先立って、当該区分所有者に対し、弁明する機会を与えなければなりません。
 

4、区分所有法60条に基づく占有者に対する専有部分の引渡請求(占有者のみ)

占有者(区分所有者から借りている賃借人)が共同利益背反行為をしている場合で、区分所有法57条に基づく停止等の請求だけでは対処できないような場合に、賃貸借契約を解除したうえで占有部分の引渡しを求めます。
簡潔に言えば、背反行為をしている占有者を強制的に追い出す手段になります。
区分所有者の共同生活上の障害が著しく、他に手段がない場合に利用できます。
この訴えも、集会において、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による特別決議が必要です。
また、決議に先立って、当該占有者に対し、弁明する機会を与えなければなりません。
 

共同利益背反行為が行われている場合は早めに弁護士等の専門家にご相談ください

共同利益背反行為を行う住民がいる場合は、早い段階で注意し、是正を求めるのが最善の解決策です。
しかし、何度注意しても改善が見られない場合は、管理会社や管理組合だけで対処することは難しくなります。
背反行為者も頑なになりがちですし、管理組合の役員も同じ住民ですから、相手によっては報復や嫌がらせが懸念されることもあると思います。
 
このような場合は、管理組合から弁護士等の専門家にご相談いただくことも検討してください。
弁護士費用を誰が負担するのか気になるかと思いますが、マンション管理規約には、弁護士費用も含めて相手方に請求できる旨の条項が盛り込まれていることが多いと思います。
この条項があれば弁護士費用を心配する必要はありません。
むしろ、共同利益背反行為を放置し、事態が悪化してからでは解決が難しくなりますし、そのための費用も高額になってしまいます。
マンションの住民の皆様が気持ちよく暮らせるように、共同利益背反行為は早期に解決することが大切です。

大阪・淀屋橋で15年!実績豊富弁護士が在籍!

不動産トラブルでお悩みの方は、当事務所にお任せください。