契約解除を通知された
物件等を借りていると、賃貸人から契約解除の通知が送られてくるケースがあります。
この様な場合、賃借人としてはどのように対応すべきなのでしょうか。
そこで、本記事では賃貸借契約解除の通知を賃貸人から受け取った場合の対応方法、契約解除が認められる事例などを説明します。
立ち退き料や通知から退去までの流れについても解説しますので、ぜひ一度チェックしてみて下さい。
賃貸借契約解除の通知について
建物の賃貸借契約解除の通知は、貸主側が借主に対して契約解除を求める際に送ります。
一般的には、契約を解除する理由や契約期間の満了日などが記載された書面が送付されてきます。
通知には主に以下のような内容が記載されています。
- ・通知日
- ・オーナー名や管理会社の担当者名
- ・契約解除の理由
- ・契約期間の満了日 など
賃貸借契約の解除は、貸主と借主の信頼関係が破壊されたと判断できる場合に有効になります。
したがって、借主は契約解除の通知が来た際は、まず契約解除の理由について確認を行いましょう。
軽度な違反行為や1ヵ月だけの賃料納付の遅れであれば、信頼関係が破壊されたとはみなされず契約解除が無効となる場合があります。
契約解除が認められる正当事由とは?
前述のように契約解除が認定されるためには、貸主と借主の間の信頼関係が破壊されたとみなされる必要があります。
しかし、場合によっては貸主側の都合により、以下のような理由で契約解除や立退きを求められるケースがあります。
- ・建物の老朽化により建て替えの必要がある場合
- ・経済的な事情やトラブルにより貸主が建物の返還を求める場合
上記のようなケースでは、貸主側に正当事由があるものと判断され、借主より建物の必要性が高いと認められれば契約解除が有効となる場合があります。
その他、借主に以下のような重大な契約違反等があれば、契約解除が認められる可能性が高くなるため注意しましょう。
- ・3カ月分以上の家賃を滞納しており、催促されても支払っていない場合
- ・ペット禁止にも関わらず飼育を行い、物件に深刻な破損や被害を生じさせている
- ・騒音や悪臭などで近隣住民への迷惑行為を起こしており、改善していない
立ち退き料の受け取りは可能?
賃貸人側からの賃貸借契約解除の通知に応じて退去する場合、借主が立ち退き料を受け取れるケースと受け取れないケースが存在します。
まず、受け取れるケースに関しては、前述の「建物の老朽化による建て替え」や「貸主の経済的な事情やトラブル」等の貸主都合による契約解除が該当します。
これらのケースでは、立ち退き料を請求すれば受け取れる可能性が高いでしょう。
一方で受け取れないケースとしては、「何度も家賃滞納をしていた」「悪質・重大な契約違反をした」「深刻な近隣トラブルや物件の損害を引き起こしている」などの事態が該当します。
入居者が原因の契約解除であれば、立ち退き料の受け取りは難しいでしょう。
契約解除通知をされた場合の対応方法
契約解除の通知を受けた際の対応方法には、主に以下の2つがあります。
① 契約解除の無効を主張して賃貸人と交渉する
契約解除の理由に納得がいかない場合には、無効を主張して賃貸人と交渉する対応をとります。
原因とされる理由に関しても調査を行い、信頼関係が破壊される程の問題ではないと認められれば、契約解除は無効となります。
賃貸人が仮に理由のない契約解除や強制的な退去を要請してくる場合は、賃貸人の「使用収益させる義務」に違反しているものとして責任追及をした方が良いでしょう。
② 契約解除に応じて立ち退きを行う
契約解除に応じる場合には、必要な手続きや交渉をした後に立ち退きを行います。
前述のように立ち退き料を受け取れる場合は、こちらの経済的な損失等を考慮して交渉を行い、妥当な金額を受け取れるように話し合いましょう。
契約解除の通知から退去までの流れ
契約解除の通知から退去までの経過については、基本的に下記のような流れとなります。
① 賃貸人からの電話連絡
借主の家賃滞納や契約違反、もしくは貸主都合の契約解除の理由が発生した場合には、まず賃貸人からの電話連絡などが来ます。
滞納や違反等であれば改善要請もされるでしょう。
② 契約解除通知が送られてくる
滞納や違反等が改善されなければ、契約解除の通知が内容証明郵便で送られてきます。
③ 訴訟や強制執行
契約解除の通知が来ても応じない場合、賃貸人は訴訟や強制執行の手続きに移行するでしょう。
④ 物件の明渡しや立ち退きの手続き
裁判で強制執行となれば、入居者は物件を明け渡す必要があります。
賃貸人都合で退去させられる場合には、立ち退き料を請求し受け取りましょう。
契約解除の通知が来た場合は落ち着いて対応しましょう
貸主から契約解除を通知された場合の対応方法、立ち退き料に関してや契約解除が認められるケースについても解説しました。
もし、身に覚えのない理由で契約解除を通知された場合には、放置せずにしっかり話し合っていく必要があるでしょう。
可能であれば法律や不動産に詳しい弁護士に相談して、賃貸人側と交渉を行う方が安心です。
ぜひ、本記事を参考にしながら対応方法を検討してみてください。
