賃借人が亡くなった |大阪で不動産トラブルを弁護士に相談【田阪法律事務所】

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賃借人が亡くなった

建物を貸していると、賃貸期間中に借主である賃借人が亡くなってしまうケースがあります。
この場合、賃貸借契約はどうなるのか、また、賃料の支払いや敷金の返還義務はあるのかを知っておく必要があるでしょう。
そこで、今回は賃貸建物の賃借人が亡くなった際にすべき対応について解説します。
 

賃借人が亡くなると賃借権は相続される

賃借人が亡くなった場合、賃貸借契約は消滅せずに、相続人が賃借権を相続します。
ですので、賃貸人が借主の死亡を理由として、一方的に賃貸借契約の解除や解約を行うことはできません。
 
ちなみに、相続人が相続する財産には以下のようなものがあります。
 

  • ・賃貸建物の賃借権
  • ・部屋にある家財道具
  • ・契約時に貸主に預けた敷金
  • ・毎月の家賃・共益費などの債務
  • ・滞納した家賃・共益費などの債務

 
相続人が複数人いる場合、賃借権は遺産分割終了まで相続人全員が共有して相続します。
いわゆる「準共有」。
その際の、共有持分については、法定相続分に応じて配分されます。
したがって、相続発生時には、相続人が何人いるのか、相続人が賃貸借契約を解約する意向なのか等を確認する必要があるのです。
 

賃料の支払いは誰に請求する?

複数の相続人に賃借権が相続された場合、賃料は誰に請求できるのでしょうか。
相続発生前の未払賃料と相続発生後の賃料に分けて解説します。
 

① 相続発生前の未払賃料の場合

亡くなった賃借人(=被相続人)に未払賃料があった場合、法定相続分に応じて相続人それぞれに債務の支払義務が生じます。
したがって、賃貸人は各相続人に請求する必要があります。
 
なお、相続人の代表者1名に全額を支払ってもらうことも可能です。
 

② 相続発生後の賃料の場合

被相続人が亡くなっても賃貸借契約は続くため、遺産分割により新しい賃借人が確定するまでの賃料も請求する必要があります。
 
この相続発生後の賃料については、不可分債務であると解されており、相続人1人に対して全額を請求することも、相続人全員に対して請求することも可能です。
 

相続人が居住せず賃貸借契約を終了させる場合

相続人が賃貸建物の利用を希望しない場合、賃貸人は相続人全員と合意するなどして、賃貸借契約を終了させてしまうことが可能です。
 

相続人がいない、もしくは全員相続放棄した場合

賃借人が亡くなってしまった場合、単身で身寄りなどがいない、相続人がいないなどのケースも存在します。
また、仮に相続人がいても全員が相続放棄をすれば、結果的に相続人がいない状態になってしまいます。
 
こうした相続人がいない状態になったとしても、賃貸人は勝手に被相続人の財産を処分してはいけません。
この場合、賃貸人は家庭裁判所から選任された相続財産管理人に、賃貸借契約の解約に関する合意や未払い賃料の請求を求めることになります。
 
なお、相続人の有無の判断をするためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍や相続放棄申述受理証明書などを収集する必要があります。
相続財産管理人の選任は申し立てる場合はもちろん、そうでない場合でも、弁護士に依頼するなどして、相続人をきちっと調査しておくことは非常に重要です。
 

敷金の返還は必要なのか?

敷金は賃貸借契約の締結時に支払われる担保金で、家賃滞納や物件の損傷があった場合にその損失の補てんに充てられるお金です。
この金銭は、敷金が損失に充当されて無くなっていたというような場合でない限り、賃貸借契約を終了させる際には返還をしてもらえる担保金です。
 
したがって、被相続人が賃貸人に対して敷金を支払っていた場合、相続人は敷金返還の請求を行うことができます。
この請求の権利を「敷金返還請求権」と言います。
 
そのため、賃貸借契約終了時に賃貸人が敷金返還請求を受けた場合、その金額を相続人に返還しなければいけません。
なお、相続人が複数の場合は法定相続分に応じて配分を行い返還します。
 

賃借人が亡くなった場合の準備や対応方法は学んでおきましょう!

賃貸建物で賃借人が亡くなった場合、迅速に相続人の確認や賃貸借契約の変更などを行う必要があります。
また、部屋に残された家財の処分や原状回復費用の負担請求なども、場合によってはしなければいけません。
 
したがって、事前に賃借人が亡くなった場合の対策や準備はしておかないと、予想以上の負担や手間・金銭的な損失等を被る可能性があります。
 
みやこ法律事務所では、こうした不動産・相続に関するトラブルの相談にも対応しておりますので、お困りの際にはぜひご相談ください。

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