瑕疵担保責任(契約不適合責任)に関するトラブル |大阪で不動産トラブルを弁護士に相談【田阪法律事務所】

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瑕疵担保責任(契約不適合責任)に関するトラブル

1、契約不適合責任と瑕疵担保責任との違い

瑕疵担保責任は、旧民法下で売買契約の売主が負っていた責任です。
具体的には、旧民法570条に売買の目的物に隠れた瑕疵があった時は売主は担保責任を負うことが定められていました。
例えば、建物の売買契約であれば、買主が建物を購入し住んだ後でいろいろな欠陥が発覚した場合は、買主は売主に担保責任を追求できるということです。
担保責任の内容としては、売買契約の解除と損害賠償請求が認められていました。
ただ、「隠れた瑕疵」と言えるかどうかの判断基準はあいまいでした。
まず、隠れたとは、取引上一般に要求される程度の注意をもってしても契約時点で買主が発見することが難しい瑕疵(欠陥)のことである。
瑕疵とは、契約時の取引社会が前提としている程度の品質、性能を基準としてそれに及ばない場合のことであるといった解釈がなされていました。
どのような欠陥が「隠れた瑕疵」に該当するのか、予め予測することは難しく、事例によって事情も異なるため、隠れた瑕疵と言えるのかをめぐって争いになることもありました。
 
2020年(令和2年)4月1日からは、この民法の規定が大きく変わり、契約不適合責任という制度になりました。
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、責任を追及できるという制度です。
ポイントは、契約書に書かれている品質が基準になった点です。
契約書に書かれている品質よりも劣っていれば、買主は売主に対して責任を追及できます。
そして、責任追及の方法も以下の4つに増えました。
 

  • 1、履行の追完請求……建物の場合は、欠陥の修繕工事などを行うことです。
  • 2、代金減額請求……売買代金の値下げを求めることができるということです。(修繕工事ができない場合に限ります)
  • 3、損害賠償請求……代金減額とは別に損害賠償請求もできます。
  • 4、売買契約解除……売買契約自体を解除することもできます。

 

2、契約不適合責任の対象となり得る不適合

不動産売買における不適合の内容としては主に次の4つがあげられます。
 

1、物理的不適合

売買の目的物に不適合がある場合です。
土地であれば、地盤沈下、地盤の軟弱化、土壌汚染、地中埋没物などです。
建物であれば、雨漏りや水害の履歴、建物の構造上重要な部分の腐食、防火性能が劣る、シロアリ被害、給排水管のトラブルなどです。
 

2、環境的不適合

購入した不動産の周りの環境に不適合がある場合です。
例えば、周りに高いビルができてしまい、日照や景観が害されてしまった。
高速道路、鉄道などによる騒音がひどい、悪臭を放つ施設がある、葬儀場、火葬場、墓場などの嫌悪施設ができたような場合です。
 

3、心理的不適合

購入した不動産に物理的な問題はなくても、心理的に住みづらい場合です。
例えば、購入した不動産において、過去に自殺があったり、事件が起きていたような場合です。
いわゆる事故物件と呼ばれるものがこれに当たります。
 

4、法律的不適合

購入した不動産について、法律的な制約があるために、買主が想定していた使い方ができなかったような場合です。
例えば、都市計画法や建築基準法上の制約があるために、建て替えや増築ができないような場合です。
 
これらの4種類の不適合は、契約書にそのような不適合が存在していることが明記されていれば、買主はその不適合が存在していることを承知の上で購入したものとされるため、契約書をよく読んでいなかったとしても、買主側から契約不適合責任を追及することは難しくなります。
一方、売主としては、上記のような不適合を契約書に明記していなかった場合は、後で買主側から契約不適合責任を追及されるリスクがあるということです。
 

3、買主が契約不適合責任を追及できる期間

民法によると、買主が契約不適合責任を追及できる期間は限定されています。
まず、契約不適合の事実を知らないままに、不動産の引渡しを受けたときから10年を経過した時は、買主の権利は時効により消滅します。
 
また、契約不適合の事実を知った場合は、次の手段を講じなければ、権利行使ができなくなるため注意が必要です。
 

  • 1、まず、契約不適合の事実を知った時から1年以内に売主に「通知」する。具体的には、契約不適合の事実がある旨を内容証明郵便などによって売主に通知しなければなりません。
  • 2、その上で、契約不適合の事実を知った時から5年以内に、裁判上の請求などの手続を執らなければなりません。

 
この場合でも、不動産の引渡しを受けたときから10年を経過した時は権利行使ができなくなることに注意が必要です。
例えば、不動産の引渡しを受けたときから7年経過して、契約不適合の事実を知った時は、1年以内に通知したとしても、実際に契約不適合責任を追及するかどうかを検討できる期間は、3年しかないことになります。
 

4、契約不適合責任を制限する特約

契約不適合責任は、民法562条以下に規定が置かれていますが、いずれの規定も買主は売主に対して契約不適合責任を追及することが「できる。」という定め方になっています。
これは、任意規定と言い、契約当事者の間で、民法と違う定めに変えることもできる規定であることを意味しています。
よって、民法の契約不適合責任の規定を、契約により変えることができます。
 
特に、中古建物付き土地の売買契約では、責任追及期間を短縮したり、契約不適合責任の内容や責任追及の方法を限定していることもあります。
もっとも、売主が契約不適合責任を負わない旨の特約をしたときであっても、「知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。」と定められています。(民法572条)
売主が契約不適合責任を一切負わないと契約に定めていたとしても、売主が不都合な事実を故意に隠ぺいしていた場合は、買主側からの責任追及が可能になるということです。
 
ただ、契約不適合責任を制限する特約はすべての不動産売買で適用されるわけではありません。
売主が宅地建物取引業者である場合は、宅建業法40条により、原則として民法の規定よりも買主に不利となる特約をしてはならないと定められています。
また、新築住宅の場合は、品確法95条により、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について10年間の担保責任を負わなければならないと法定されています。
 
このように契約不適合責任を制限する特約が有効であるかどうかは、売主が誰であるか、売買の目的物である不動産が新築か中古かにより異なります。
 

5、買主が売主に契約不適合責任を追及するには?

不動産売買では、中古物件の売買を中心に、民法の契約不適合規定とは異なる特約が設けられていることが多いです。
そのため、契約不適合責任の追及を考えている場合は、まず、契約書で特約により権利行使が制限されていないか確認する必要があります。
特約がある場合でもその特約が有効なのか判断する必要があります。
その上で、権利行使できるとすれば、契約不適合の事実を知った時から1年以内の通知を行わなければなりません。
契約不適合責任を追及できる期間も原則として5年しかありませんので、迅速に相手方との交渉に取り掛からなければなりません。
 

6、不動産売買における契約不適合責任に関するトラブルの解決はプロの弁護士へご相談ください

不動産売買における契約不適合責任を追及する相手方が宅建業者である場合は、不動産取引のプロを相手にすることになります。
契約不適合責任を追及される可能性も見越して、対応策を講じていることもありますから、そんな宅建業者に対して責任を追及することは容易ではありません。
弁護士なら誰でも解決できるわけではなく、不動産トラブルに精通した弁護士でなければ、難しいものです。
 
当事務所は、不動産売買における契約不適合責任に関するトラブルを解決した実績が多数あります。
ご依頼いただけば、様々な対応策を検討したうえで、ご相談者様の納得のいく形での解決を目指します。

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